症例

脊柱管狭窄症

脊柱管が狭くなると…

脊柱(背骨)は椎骨と呼ばれる骨(右図)が上下に積み重なって出来ています。椎骨と椎骨の間には椎間板があり、クッションのように働いています。椎骨には穴が開いていて、この内側には前後それぞれ靭帯があり、上下の骨が前後にずれないように支えています。上下につながった椎骨の穴のことを「脊柱管」といいます。この脊柱管の中に脊髄や神経があります。脳や脊髄はとても弱い組織なので「硬い骨」や「骨と骨をつなぐ靭帯」で守られているのです。

 

 

年を重ねると血管のない椎間板は傷んできます。椎間板のクッションが機能しなくなると、代わりにそれを支えようと靭帯が厚くなります。脊柱を支えるために良かれと厚くなった靭帯は脊髄や神経を押さえつけるようになります。この状態は「脊柱管狭窄」といいます。これは首でも腰でも起こります。首では脊髄を圧迫して「手のしびれ」「手が使いづらい」「歩きにくい」などの症状を起こし、神経を圧迫して「腕や手の痛み」が生じます。腰で神経(馬尾神経)が圧迫されると、「足が痛む」「歩くと足がしびれる」などの症状で苦しむことになるのです。

 

 

腰部脊柱管狭窄症(腰の脊柱管が狭くなる病気)

腰部脊柱管狭窄の治療方法は?

「腰の脊柱管」が狭くなり、「足が痛む」「歩くと足がしびれる」などの症状があることを「腰部脊柱管狭窄症」と言います。

症状が軽いうちは内服(飲み薬)で治療します。しかし、狭窄が強い場合は内服だけでは治らないことが多いです。それは、内服では神経を圧迫している靭帯や椎間板はなくなることはないからです。内服で症状が良くならない場合は手術を行います。神経を圧迫している靭帯や椎間板を取り除くことでしびれや痛みの改善を目指します。

 

腰部脊柱管狭窄の手術方法は?

小さな皮膚切開(1椎間であれば2.5cm程)で、椎弓と呼ばれる骨の一部を削り、厚くなった靭帯や飛び出した椎間板を取り除きます。体への負担が最小限になるように、また神経を傷つけないように慎重に「手術顕微鏡」を使って手術します。

椎骨と椎骨の骨のズレが脊柱管狭窄症の原因となっている場合は、固定術が必要になることがあります。この場合も体の負担が最小限になるような治療を行います。

 

 

 

 

頚部脊柱管狭窄症(頚椎症性脊髄症、頚椎症性神経根症、後縦靭帯骨化症など)

頚部脊柱管狭窄症の治療方法は?

「首の脊柱管」が狭くなると、脊髄や神経が圧迫されて脊髄や神経の症状が出てきます。脊柱管を狭くしているものは、主として① 飛び出した椎間板、② 椎骨の盛り上がった骨、③厚くなったあるいは骨化した靭帯です。手のしびれや痛み、手がうまく使えない、歩きづらいなど様々な症状が出て、徐々に進行していきます。また脊髄圧迫がある状態で、頭部に強い打撃が加わると、圧迫されている部位で脊髄が損傷し、運が悪ければ四肢麻痺になる可能性があります。

 

部分的な神経が圧迫されているのみであれば、頚椎カラーによる頚部の安静やお薬で治療します。しかし、脊髄や神経の圧迫が強い場合では十分な効果はありません。強く圧迫された脊髄を解放するには手術しかありません。症状の改善や今以上の増悪を防ぐことが出来ますが、すでに完成されてしまった障害は元に戻すことはできません。

 

頚部脊柱管狭窄症の手術方法は?

病態に合わせて前から、あるいは後ろから「脊柱管」を開放します。

 

【前からの手術(頚椎前方除圧固定術)】

小さな皮膚切開(1椎間であれば2.5cm程)で、椎間板を経由して脊柱管を広げ、上下の椎体を固定します。

 

 

【後ろからの手術(頚椎椎弓形成術)】

約5cmの皮膚切開で、椎弓を広げる手術です。椎弓を観音開きにして、人工椎弓を糸で結び付け、脊柱管を開大させます。

椎弓に付着する筋肉も可能な限り温存する低侵襲な手術を行っています。

 

 

 

手の痺れ・痛みや足の痺れ、歩行困難がある患者さんへ

原因を詳しく検査し、適切な診断・治療に取り組んでいます。症状がある患者さんは何時でもご相談ください。

 

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