症例

未破裂脳動脈瘤

未破裂脳動脈瘤とは?

未だ破裂していない脳の血管の瘤のことを「未」「破裂」「脳動脈瘤」と言います。

脳動脈瘤とは脳血管の一部が瘤のように膨れてくるもので、血管が枝分かれする部分に発生しやすく、血流の力により風船のように大きく膨らんできます。この動脈瘤があるだけでは脳神経に異常をきたすことは少ないですが、膨らんだ壁に脆弱な部分があるとそこから破裂して出血を来します。この出血は「くも膜下出血」と呼ばれ、約6割の患者さんが死亡するか重篤な後遺症を残すと言われています。

 

未破裂脳動脈瘤はMRIなどのスクリーニング検査で約4%の人に見つかります。特に家族に家族2人以上に脳動脈瘤がある人では約20%の確率で動脈瘤が見つかると言われています。

ただ全ての未破裂脳動脈瘤が破裂するわけではありません。動脈瘤の破裂率は年間約1%と言われています。一般的に女性、高血圧、喫煙、大量飲酒のある患者さんは破裂しやすく、また動脈瘤のサイズが大きいものや形がいびつなものは破けやすいと言われています。

日本で行われた未破裂脳動脈瘤の調査では、(70歳以上)(女性)(高血圧)(動脈瘤が7mm以上)(前交通動脈瘤あるいは内頚動脈後交通動脈瘤)(動脈瘤上に小さな膨らみがある)は破裂の危険因子とされ、危険因子が多ければ多いほど 3年間での破裂率が高くなります。

 

未破裂脳動脈瘤の治療方法は?

脳動脈瘤は薬で小さくなることはありません。手術でしか治すことができません。

先に述べたように、全ての動脈瘤がすぐに破れてしまうわけではありません。当院では、先に述べた「破裂のリスクが高いもの」、「急速に増大しているもの」「脳神経の症状を出しているもの」は手術加療を勧めています。

治療は血管の中からカテーテルを用いて動脈瘤を閉塞する「コイル塞栓術」と、頭を開けて動脈瘤の頚部をクリップで閉塞する「クリッピング術」とがあります。それぞれ一長一短があり、当院では後者の「クリッピング術」を行っています。

 

未破裂脳動脈瘤の手術方法は?

頭の皮膚・筋肉を切開し、頭皮と筋肉を翻転(皮膚をめくって頭蓋骨を出す)します。その後、前頭側頭部に開頭(頭蓋骨を外す)を行い、脳を覆う硬膜を切開します。

脳と脳の間の大きな溝(主として前頭葉と側頭葉の間にあるシルビウス裂)を分けて動脈瘤を露出し、動脈瘤の頚部にクリップをかけて血流を遮断します。これらの操作は、手術顕微鏡を用いて丁寧に手術を行います。

 

破けやすい動脈瘤その1(内頚動脈後交通動脈瘤)

 

 

 

破けやすい動脈瘤その2(前交通動脈瘤)

 

 

当院では、整容(見た目の綺麗さ)も考慮した手術を行っています。

髪の毛は、皮膚の切開部分1cm幅しか剃らないので退院時にもほとんど傷は目立ちません。

 

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