症例

頚部内頚動脈狭窄症

頚部内頚動脈狭窄症とは?

心臓から拍出された血液は、首の動脈を経て脳の動脈に運ばれます。この首の動脈は頚動脈と呼ばれています。頚動脈(総頚動脈)は顎の高さで、「脳を栄養する血管(内頚動脈)」と「頭・顔面の筋肉や皮膚を栄養する血管(外頚動脈)」に枝分かれします。この「脳を栄養する血管(内頚動脈)」の入り口は動脈硬化を来しやすいことが知られています。

 

頚動脈の動脈硬化は、アテローム硬化と呼ばれプラークが形成されます。内頚動脈は内膜、中膜、外膜の三層構造なのですが、内膜にアテローム硬化が起こり、ここにプラークといういわばお粥のようなジュクジュクした脂肪の塊が形成されます。頚動脈のアテローム硬化は段階的に進行し、初めは軽度の内膜の肥厚(壁が厚くなること)と脂肪の沈着(脂肪がたまる)なのですが、炎症細胞が集まってきて炎症を起こし、徐々にプラークが大きくなっていきます。これが血管の内腔(血液が流れている腔)に破裂を起こせば、プラークの一部が脳血管まで流れていき、細い脳動脈を閉塞することで脳梗塞を発症してしまいます。
「頚部内頚動脈狭窄症」が進行すると、血管が狭窄(狭くなること)で脳血流が足りなくたったり、塞栓症(血栓が流れて脳梗塞を起こすこと)を起こしたりすることがあるのです。

 

 

 

 

頚部内頚動脈狭窄症の治療方法は?

「頚動脈ステント留置術」と呼ばれるカテーテル治療や、「頚動脈内膜剥離術」と呼ばれる手術治療があります。「頚動脈ステント留置術」では血管内にカテーテルをいれ、細くなった血管をバルーンと金網を用いて狭くなった血管内腔を広げる手術です。「頚動脈内剥離術」は狭くなった血管を切開し、厚くなった内膜を顕微鏡下に切除し、血管を広げる手術です。それぞれ一長一短があり、症例毎に治療法を選択しています。

最新の脳卒中治療ガイドラインでは、高齢者の治療は「頚動脈内膜剥離術を行うことが妥当」とされており、当院では高齢者の頚部内頚動脈狭窄は「頚動脈内膜剥離術」を多く行っています。

 

頚動脈内膜剥離術の手術方法は?

アテローム硬化を来した頚動脈を直接露出し、血管を切開してプラークを取り除きます。前述したプラークは総頚動脈が内頚動脈と総頚動脈に分岐する部位で生じ、これら血管を露出するため、病側の前頚部の皮膚を切開して手術を行います。血管を露出した後に、血管壁を切開し、プラークを摘出します。血管壁の凹凸を修復した後に、血管壁を縫合します。

 

 

 

※手術は脳血流を確認しながら行います
※血流を遮断した際に血流が低下した場合には、内シャント呼ばれる管を挿入し、血流をバイパスします。これにより脳の血流を担保しながら手術ができます。

 

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