症例

脊椎脊髄外傷

脊椎脊髄外傷とは

背骨への直接打撃のみならず、首では頭部への強い衝撃が加わることで脊椎(骨)、脊髄(神経組織)にダメージが加わることを言います。脊椎へのダメージにより、骨折や脱臼などがみられ、脊髄へのダメージは運動麻痺や感覚障害などの神経症状を引き起こします。

 

脊椎脊髄外傷は、椎体や椎間板、椎間関節、またこれらを支える靭帯の損傷が、患者さんそれぞれに複雑に絡み合って起こっています。当院では、AOspine- Spinal Trauma Classification Systemを使用し、個々の症例を分類し、適切な治療を選択しています。ただし、当院では重症脊椎脊髄損傷や慢性期の治療は行っておりません。

 

脊椎脊髄外傷の治療方法とは?

脊椎の損傷程度と神経症状を評価し、 AOspine- Spinal Trauma Classification Systemを用いて適切な治療法を選択します。非手術治療はカラー、コルセットによる脊椎安定化を主とします。変位を伴う骨折や脱臼、靭帯損傷がある場合、手術を行います。また、脊椎が痛んでいない(骨折や靭帯損傷がない)場合でも脊髄が損傷することがあります。多くの場合、もともと変性疾患(主として加齢性変化)を伴って場合が多く、一時的な神経症状(脊髄震盪)から完全麻痺など重度の神経症状が後遺症として残ってしまうこともあります。このような脊髄損傷により強い手足の痛みがある場合、または脊髄の腫れにより二次的な脊髄障害を来し得る場合は除圧手術を行います。

 

脊椎脊髄外傷の手術方法は?

症例に応じた手術治療を行います。当院では頚椎外傷を手術しています。

 

上位頚椎骨折

上位頚椎、特に軸椎骨折は既存の分類法では分類困難な複雑な骨折を呈する場合があります。個々の症例の骨折範囲や靭帯損傷の部位を見極めて固定手術を行います。脊椎に付着する筋肉は脊椎の大事なスタビライザーの一つです。可能な限り筋肉は付着部から剥がさず、剥がした筋肉も縫合再建します。下の症例は、軸椎(C2)骨折、第3頚椎横突起骨折、後方靭帯損傷の症例です。

 

 

 

 

後縦靭帯骨化症のある(中心性)脊髄損傷

後縦靭帯骨化症と呼ばれる靭帯が骨化する病気があり、脊柱管狭窄がもともとある患者さんは、頭部外傷により骨折が無くとも脊髄が傷ついてしまうことがあります。下の患者さんは、転倒して頭部を強打した後、「歩きにくい」「手が上手く動かせない」「手が痺れる」といった症状がありました。脊椎(骨)、靭帯損傷はなく、脊髄の除圧手術を行い、通常の日常生活が送れるようになりました。

 

 

 

びまん性特発性骨増殖症(DESH)に伴う頚椎横断骨折

DESHでは、軽微な外傷でも骨折が生じやすく、頚椎前方から後方まで骨損傷(3-column損傷)を来すことが多く、患者さんの多くは手術治療が必要になります。下の患者さんは、階段から転落して四肢麻痺で紹介入院になりました。頭蓋内出血(硬膜下血腫)や頭蓋骨骨折もあり、ハローベストと呼ばれる固定器具で全身状態を整えたのちに手術を行いました。

 

 

 

ページトップへ戻る