症例

頭部外傷(小児の頭部外傷)

子供の頭部外傷の特徴

子供の頭部打撲(鈍的頭部外傷)の多くは、脳損傷や後遺症を残すことはほとんどありません。しかし、外傷直後に神経の症状(意識障害、麻痺、感覚障害など)がなかったとしても、3~10%のお子さんに、CT検査で出血などの頭蓋内外傷性変化が認められることが知られています。

 

CT検査は被曝する

子供の頭部外傷の中には、濃厚な入院管理や外科的な治療(手術)が必要になることもあります。ただその確率は1%程度と言われ、その頻度は低いです。頭の中に出血があるかどうかはCT検査を行わないと分かりません。しかし、CT検査は放射線を浴びてしまいます。CTを複数回検査した場合、癌や白血病にかかるリスクが高くなると言われています。そのため、不必要な検査は控えなければなりません。

 

子供の頭部打撲をどう診察する?

当院では、患児を診察し、海外のルールを参考にしてCT検査を行うかどうか判断しています。

 

 

これらルール内で判断できない場合もあります。心配があればいつでもご相談ください。

もちろん、意識障害(普段と様子が違う)や神経症状(物が二重に見える、手足が動かしにくい、しゃべりづらいなど)の症状がある場合は緊急で受診してください。

 

子供の頭部外傷の注意点

頭の中に出血や脳の傷(挫傷)がない場合にも、一時的な意識障害や健忘(頭を打った前後の記憶がない)が見られることがあります。このような場合、「脳震盪」を起こしている可能性があります。「脳震盪」は一時的に脳が混乱した状態と言えます。通常は、後遺症なく(外傷前後の記憶がなくなった場合、その記憶が戻らないことは多いです)治癒します。しかしながら、その後に頭痛、不安やイライラなどの精神症状が長く続く場合もあります。

特に子供では頭痛が遷延することがあります。子供の二次性頭痛(腫瘍や炎症、外傷などが原因で起こる頭痛)は外傷後に多く見られます。頭痛が遷延する場合はいつでもご相談ください。

 

小児の二次性頭痛の原因

 

 

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